国・地名一覧


オリジナル創作の舞台となる世界、“ユリスガルド”の地名一覧と簡易説明です。

ユリスガルドとは


ユリスガルド・全体地図



リーゼル公国

 北の大陸の南部を占める、ユリスガルドの商業の中心となっている国。

 国内の3つの街は整備された街道で結ばれ、荷馬車や旅人が頻繁に行き来する。

 北に聳えるレーガス連峰から吹き降ろす風のため、一年を通しやや寒冷な気候。

 商業都市リーゼルブルグ

中枢都市とも呼ばれるリーゼル公国の首都。

ユリスガルド全土の商業の拠点で、富裕層の暮らす高級住宅街の外周を様々な商店の並ぶ通りが囲うような構造。街の随所に風車が設置されており、商店通りを周回するように路面魔導車(魔力を動力とする路面電車)が走っている。

冒険者ギルド、ユリス教教会などの本部もこの街に集約されている。表向きは華やかな一方で貧富の格差が大きく、黒い噂も絶えないという。

 外縁都市アウゼルブルグ

リーゼルブルグから山を挟んだ外縁に位置する町。

活気に満ちたあちらとは異なり、のどかで落ち着いた雰囲気を持っている。街の内外に大小の風車が立ち並び、穀物や牧草の栽培が盛ん。

元々は様々な事情でリーゼルブルグに住むことがかなわなかった人々の疎開先として発展したが、今ではむしろこちらに住みたいと希望する者が現れるまでになった。

 港湾都市ポルトリーゼ

リーゼル公国第三の都市。

首都であるリーゼルブルグは山に囲まれているため、この街が玄関口の役割を果たしている。

今でこそ首都を支える立場だが、この大陸の開拓はここから始まったといわれ、街の各所にそれらの史跡が残っておりちょっとした観光地でもある。

 リーゼル公国三街道

リーゼルブルグ~ポルトリーゼ間のブランゼ街道、リーゼルブルグ~アウゼルブルグ間のシルビア街道、そしてリーゼルブルグから北のレーガス連峰登山口までを結ぶギルデン街道、この3つの総称。

それぞれ数学者・ブランゼ、シスター・シルビア、冒険者・ギルデンというリーゼル公国建国に関わった偉人の名を冠しており、街道半ばには彼らの像が建つ休憩所が存在する。

定期的に冒険者や自警団が魔物の駆除を行っているため、街道沿いにはほぼ無害な魔物しか生息していない。しかし街道を外れた場所には強力な魔物が潜んでいることがあり危険。

 外れの森

その名の通り、リーゼルブルグ郊外、ギルデン街道の傍にある小さな森林。

冒険者ギルド本部がリーゼルブルグにあるため、駆け出し冒険者が試験としてよく訪れる。またそれに伴い熟練冒険者も危険な魔物が巣食っていないか定期的に調査に来るため、基本的には安全な場所。

 アーリンゲン村

ブランゼ街道の小さな分岐の先にある窪地の村。

リーゼルブルグ近郊にあるものの佇まいは質素で、住民の数はまばら。村の若者の多くがリーゼルブルグやポルトリーゼ等の都市へ働きに出て、村に残る家族の生活を支えている。

 アーリンゲン風穴

アーリンゲン村の裏手に口を開ける小さな洞窟。

奥は吹き抜けになっており、洞窟内は常に風が流れている。それ以外には特に宝があったり強い魔物が生息しているわけではない普通の洞窟だが、人目を避けたい訳ありの人間が隠れ家にすることもあり、そこかしこに生活の痕跡が残る。

 ミルライネ湖

リーゼルブルグ市街の北西に隣接する、レーガス連峰から流れ込む雪解け水をたたえた広大な湖。

湖上では湖風が吹き、リーゼルブルグにはこの風で天気を予測する観測所が存在する。

シルビア街道とギルデン街道はこの湖に沿うように伸びており、特にシルビア街道側は景観も良く街の人間が散歩に訪れることが多い。

 リーゼトンネル

三街道のうち、ブランゼ街道とシルビア街道を進むと通ることになる洞窟。

洞窟といっても街道の一部で、地上階は広く整備されて馬車も難なく通ることができる。

2つのトンネルのうちブランゼ街道側には中ほどに分岐があり、そこから地下に降りると自然のままの洞窟が存在。多くの魔物が生息する危険域となっている。

時折ここから魔物が地上に出てきて通行の妨げとなることがある。

 風車の丘

アウゼルブルグの町を見下ろす小高い丘。

放牧された牛や羊がのびのびと暮らしており、魔物は少ない。ただしあちこちに並ぶ風車小屋の管理人が頻繁にカギを落としてしまい冒険者に捜索を依頼してくる厄介な場所。

 レーガス連峰

リーゼルブルグの北に高く聳える山々。

正確には北だけでなく南のリーゼトンネルのあるエリアまでが連峰の一部だが、もっぱら最高峰である最北の山を指す。

上層は年間を通して雪に覆われ、常に強い風が吹いている。北方のノイゼッタ自治領と繋がる山越えの道自体は5合目程度を迂回する形で通っているため、山頂には一部の物好きしか訪れない。

生息する魔物も街道とは比べ物にならない強靭さで、高い実力が要求される。

 イルレガス村

レーガス連峰の中腹、山越えの道の途中にある村。

冒険者の足を休める場として、いくつかの山小屋が集まってできた小さな村である。

ここに住まうのは大半が元冒険者で、中央の広場では訪れた冒険者の旅の平穏を願い、山の澄んだ夜空の下で火を焚いて踊り語らう風習がある。

 

トルミナ王国

 東の大陸を国土とする、学問と観光の国。

 巨大な学園都市を有し、世界中から集まった学生や学者が勉学に努めている。

 また美しい海岸や湖も有名で、水の国と呼ばれる事もある。

 臨海城下都市トルミナ&トルミナ王城

トルミナ王国の首都で、リーゼル公国のポルトリーゼに次ぐ世界第二の港町。

王城と城下の町並みは一面美しい白壁と青屋根で、どこを切り取っても絵になるとまでいわれる。

国王の意向で王城は一般開放されており、尖塔からの眺めは特に人気が高い。

このような観光名所としてのニーズに応えるべく、港付近には数々の宿泊施設が立ち並ぶ。

 学園都市リュイナ

世界最大の学園とそれに併設された町。

学生やその家族が暮らすほか、各地から集まった学者や研究者も拠点を構えており、冒険者ギルドには討伐依頼より調査や採取依頼が多く集まる。

学園内の大図書館は一般人も利用可能で、そのために外からこの国を訪れる者も多い。

 リュイナ・ビーチ

学園都市リュイナの眼前に広がる美しい砂浜。

比較的寒冷な土地なので泳ぐのは時期が限られるが、青い水平線に世界樹を望む景色は人気が高い。

一方、観光名所だがそこそこ魔物もいる。近寄らなければ襲ってこない連中なので見かけてもそっとしておくのが吉。

 リュミネス湖

リュイナ北部に位置する湖。

リーゼル公国のミルライネ湖と比較すると小さな湖で、湖畔は森に覆われている。ここでは薬草から鉱石まで様々な素材が採れるため学園の生徒がよく採取に訪れる。

また、遠浅で人も多いビーチと違って静かなので釣りにも適している。

 旧校舎

リュイナの学園から湖を挟んで反対側にたたずむ、かつてのリュイナ学園校舎。

校舎部分は朽ち果てて魔物の棲処になっているが、併設された植物園などの一部施設は今でも学生らが利用しており、人の出入りはそれなりに多い。

生徒数の増加から現在の校舎に移転したとされているが、校舎内には備品がそのまま残されており打ち棄てられたようにも見える。学園生の間では地下に何かが潜んでいるといわれ、学園七不思議のひとつに数えられている。

 ウォルテナの町

大陸南方に位置する町。

トルミナ王国の他の都市に比べるとこじんまりとした町で、リュイナの裏山から続く川が中心部を流れている。

かつてここより南、トライトの国と繋がる橋を架ける計画があり、その拠点として築かれたのがこの町だといわれる。海峡に潜む魔物の存在のためこの計画は未完のままに終わっている。

 ウォルテナ川

リュイナ学園の裏山からはるばるウォルテナの町を通り、海まで注ぐ長い川。

山中の滝のふもとにはボート小屋があり、小舟を借りて激流川下りに挑戦できる。ただし当然危険なので何が起きても自己責任で、学園生はそもそも門前払いされるとか。

 ウォルテナの滝

ウォルテナの町の北、川を遡った森の中の滝。

ウォルテナの名で呼ばれるが位置としてはリュイナの裏山の中に存在する。

滝の裏にはいかにもな洞窟があるが、宝のようなものは何もないという調査結果が出ており訪れる冒険者はそういない。リュイナの学園生がたまに採取に訪れるぐらいである。

 

トライト共和国

 南西大陸の3国のうち、南部を占める国。

 豊富な土壌資源と、ユリスガルド全土の中でも温暖な気候を活かした農業が盛ん。

 国土の約半分を森林が覆う一方、南には砂漠が広がる。また、古代文明の遺跡が各地に残されている。

 港町トラングル

トライトの国の最北端に位置する港町。

他国の港町と比べると町としては小規模だが、国内で産出される農作物の輸出で賑わっている。

世界樹の真南に位置するため、港から最も近くに樹を望めるのが隠れた名物。また、沖合に海底遺跡が存在し、調査隊の拠点としても利用されている。

 ティトナの町

国内農業の中心地となっている町。

中心地といってもそれ以外に秀でたところがない素朴な田舎町だが、港町のトラングルや砂漠のサンカと比べると国内では最も住みやすいとされる。

郊外の小高い丘には、魔女を名乗る変わり者の女性が夫である竜とその娘と共に暮らす一軒屋がある。

 実りの丘

トラングルとティトナの間に広がる、広大な農業地帯。

肥沃な土地で年間を通して様々な作物が育てられる。特に秋には色鮮やかな野菜や果実が所狭しと実り、国を挙げた収穫祭が催される。

ここを管理する農家は森からやってきた魔物や畑自体に巣食う魔物との戦いの日々を続けており、下手な冒険者より逞しい。

 トトリー村

通商街道を少し外れた、大森林のたもとの小さな村。

住民は地産地消をモットーとしており、森とともに慎ましく暮らしている。穏やかな一方で少し排他的な面もあり、よそから来た旅人は「ここには何もないですから」「あちらの方がいい宿に泊まれますよ」などと、やんわりとティトナの方へ促されることになる。

 トライト大森林

トライトの国土の約半分を覆う、巨大な樹海。

中央に通された街道部分以外は全く人の手が加えられておらず、慣れていなければ脱出困難な自然の迷宮。一日ごとに木々の並びが変わっているとまで囁かれる。

森の中には魔物の他に樹木の妖精「フォリア」が数多く暮らし、人間を模した独自の文化を築いている。人を見ると悪戯で道に迷わせてくることがあり、冒険者にとっては彼らも厄介な存在。

 妖精郷

トライトの森のどこかに存在する、木精フォリアが集まって築き上げた小さな集落。

巧妙に隠されている一方、彼らに気に入られた人間はここに招かれるという。商店などの施設のほか、妖精の長が会議を開くための議事堂もある。

妖精たちの間では独自の名で呼ばれており、彼らは森のこともその名で呼んでいるという。

 ティトナの古城

森に覆われたかつての王城の廃墟。

100年ほど前までトライトには王政が存在したが、当時の隣国ベルムとの間で起きた戦争によって崩壊、城は遺棄され3つの町による共和制が敷かれることとなった。

当時の亡霊が宿った動く甲冑が徘徊するといわれ、誰も近寄らない場所である。

 サンカ砂漠

大森林を南に抜けた先、小さな山を一つ挟んで突然広がっている砂漠。

ほとんどが砂に飲まれているものの、柱や壁など古い建造物の一部があちこちに残されている。これらは遥か昔、トライトという国が興る以前にこの地に存在した古代文明の遺産である。

砂漠化の理由は高濃度の土素の影響とも古代文明の仕業ともいわれるが、何にせよ過酷な環境。

 サンカの町

過酷なサンカ砂漠の中で、オアシスを中心にして人々が暮らす町。

昼は暑く夜は寒い、他の町とは全く異なる環境のため、建物から人々の服装に至るまでかなり独特なものとなっている。古くから続く文化を守る一方で外部との交流は盛んに行っており、トラングルの町にはサンカの服や工芸品が並ぶ店もある。

町外れには遺跡に挑む冒険者のためのベースキャンプが存在する。

 サンカ遺跡

砂漠の中に眠る古代の遺跡、その中でも特に大きく広い王城とみられる建造物。

他と同様大半は砂に埋もれてしまっているが、冒険者やトレジャーハンターたちにより着々と掘り起こされている。

ティトナの城を中心とする王国の時代よりさらに以前、三人の王がそれぞれ支配する群雄割拠の時代の遺産で、壁画や発掘される品々からはかつてこの地が砂漠ではなく緑豊かな地であったことが伺える。

 トラングル海底遺跡

トラングルの町の沖に沈む古代都市の遺跡。

海底という点から並の冒険者は近付けず、専門の調査隊が潜水装備により少しずつ調査を進めている。

サンカ遺跡と同じく三王の時代の建造物で、三王同士の争いの果てに大地の怒りを受け、南の古代サンカは砂に沈み北の古代トラングルは海に沈んだ…というのがこの地に残る伝説である。

 

コスコール王国

 南西大陸の中央部、大国であるトライトとベルムの間に挟まれる小さな国。

 魔力を含む鉱石である魔石や、その他鉄鉱石などが豊富に存在する鉱山を有している。

 隣国同士を結ぶ街道と鉱山のふもとに町がある他は、国土の大半が草原である。

 鉱山街コスコール&コスコール城

鉱山で働く採掘者やその家族が中心に暮らす城下町。

町の南北を屋根付きの商店街が縦断し、その先に王城が建っている。この中心部以外、町の約半分が鉱石の集積場で、日中はベルムの技術を借りた機械設備が絶え間なく稼動している。

王家の人間も鉱山の採掘に励んでおり、ツルハシを振るう姫の姿はある種の名物となっている。

 コスコール鉱山洞

コスコールの国民が総出で採掘に勤しむ、山中を縦横無尽に広がる坑道。

入口近くは掘り尽くされているものの、奥部で天然の洞窟と繋がっており、壁や天井には魔力を蓄えた魔石が色とりどりに輝く幻想的な光景が見られる。

かつてこの資源をめぐりトライトとベルムの二国が長期にわたって対立し、両国の中立派がこの地に第三の国を立てて戦争を終結に導いたというのがコスコール王国の起こりである。

 コールス草原

王国全土に広がる緑豊かな草原。

中央を街道が横切っており、リーゼルブルグ近辺と同じく街道沿いは無害な魔物が多いが道を外れると強力な魔物が潜んでいる。冒険者ギルドが新米冒険者の試験に使うのも同様。

のどかな草原だが100年前の戦争では主戦場となったため、魔導兵器の残骸が所々に残っている。

 通商都市クイン

コールス草原を横切る街道の中間に位置する、南西大陸最大の商業都市。

南のリーゼルブルグとも称され、トライト~ベルム間の通商の要となっている。昼夜さまざまな人々が行き交い活気がある反面、中心部を外れた裏路地には怪しい店や少しガラの悪い連中がたむろしており、うかつに一人で入り込むと痛い目を見る可能性がある。

 宿場町カナ

コールス草原のトライト寄り、国境谷の手前にある旅人のための宿場町。

鉱脈の一端から湧いているとされる温泉が名物で、中央通り沿いは大小さまざまな温泉宿が立ち並び、食事や設備などのサービスを競い合っている。

トライト~ベルム間の長距離を行き来する商人や冒険者にとっては重要な休憩所である。

 イトール国境谷

草原の東端、トライト共和国との国境に横たわる峡谷。

通商の馬車が通る道と徒歩の人間が通る道に分かれており、馬車ルートは広く整備された橋を渡るだけだが徒歩ルートはちょっとした登山のような険しい道となっている。

物好きか文無し冒険者でもなければカナかティトナから出る馬車に乗って通るのがセオリーである。

 ベルンコスコ大石橋

草原の北端、ベルム帝国との国境に流れる川に架けられた大橋。

重厚な石造りの橋で、中央部は機械式の跳ね橋になっておりベルムの技術の粋を集めた建造物である。

一方でコスコール王国内ではあるが所有権はベルムにあるため、あちらで何か都合があると唐突に封鎖され、ベルムを目指す冒険者や商隊は立ち往生する羽目になってしまう。

 

ベルム帝国

 南西大陸の西部、火山のふもとを占める工業大国。

 火の力を利用した金属加工や機械製造が盛んで、それらを輸出する一方で強く武装する独裁国でもある。

 火山の噴煙や工業地帯からの排煙で空は常に薄曇りで、大地は赤茶けた荒野となっている。

 帝国首都ベルム

文字通りベルム帝国の首都。

街の中央を流れる川沿いには大きな時計塔がそびえ立ち、整然とした街区の中を魔導四輪車と馬車が行き交っている。

火山灰と排煙からなるスモッグで昼でも空は暗いことが多い。火の魔石を利用した街灯が絶えず灯っており街中は明るいが、外部の者にはやはり居づらい環境のため、住んでいるのは大半が工業地帯の労働者か帝国軍の兵士。

 帝国城

首都に隣接し、武装した城壁に守られた要塞のような城。

兵士や侍従が行き交い常に物々しい雰囲気で、ベルム国民であっても一般人は許可がなければ立ち入ることはできない。

一部市民の間では地下の巨大牢獄に怪物が潜んでいるだとか有事の際には城が変形して戦うだとか、真偽の怪しい噂がささやかれている。もちろんそんなことを兵士の前で言えば即刻逮捕…かと思いきや、現皇帝は独裁の形をとりつつそういったジョークには寛大らしい。

 エルベルム工業地帯

ベルム近郊に林立する、鉄の森と形容される大工業地帯。

金属の鋳造や機械部品の製造などが魔石の力も利用して半自動的に行われており、人間が行うのはそれらの魔導機械や施設のメンテナンスが中心である。

魔物は存在しないが魔導式の警備機械が巡回しており冒険者が不用意に立ち入る場所ではない。ただ、魔石の魔力が安定せず暴走した機械の停止依頼が貼り出されることはある。

 ベルム研究所

ベルム首都の郊外に建てられた研究施設。

国内で製造される機械と世界各国から集められた知識や技術を最大限活用し、各地の地質調査から魔物の生態研究に至るまで様々な調査や実験が行われている。

独裁的な帝国の認可を得つつ、時にはその目を盗んででもトルミナ王国の学園都市リュイナと連携を取っている。研究者たち曰く科学の発展は何ものにも優先される、らしい。

 メルギノバレー

ベルム全土に広がる赤茶けた荒野。

首都と各都市や要所を結ぶ鉄道(蒸気機関車)が敷かれており、ひび割れのような峡谷の下には火山から続く溶岩の川が流れる。

首都近郊に比べると煙霧の濃度は薄く、薄曇りながら日差しが拝める。荒涼とした土地だが、道を外れなければ魔物も少なく意外と危険度は低い。

 港町ビスタベイ

帝国東端に位置する港町。

主として工業地帯で製造された鉄製品や機械類の輸出に使われている。ここまで来ると空の曇りはないのだが、他の国の港町と比べ帝国兵が巡回するなど物々しい雰囲気が漂う。

その一方、港に幽霊船が停泊していることがあるという噂が住民たちの間で囁かれている。

 メルギノ市

ベルム帝国の第二都市で、メルギノ火山のふもとに位置し定点調査を行うためにある町。

四方を強固な壁で覆った城塞都市といった風貌だが、これはあくまで火山間近であるための防御で、武装もされておらず内部の住人は比較的穏やかに暮らしている。

位置と風向きの関係で煙霧は薄く、首都に代わり農業や機械工業以外の産業を担っている。付近に生息する羊の魔物の毛を用いた耐火性の高い衣服が人気。

 ロンダール市

ベルンコスコ大石橋の北側に隣接する、ベルム帝国の陸の玄関口。

他の都市同様発達した魔導機関が随所に用いられ、それらを展示する博物館なども建ち並ぶ。そのため帝国の技術を一目見ようと観光に訪れる者も多い。

大陸を横断する鉄道の中継地点でもある。

 メルギノ火山

帝国のシンボルともいえる巨大活火山。

常に火と噴煙を吹いており、内部には広大な洞窟が広がっている。その内部は未知の空間だが、帝国が検問を行っており自由に立ち入ることはできない。

流れる溶岩は高濃度の魔力も含んでおり、外気に触れても固まりにくい。そのため川のようになりメルギノバレーを流れ、海に注いでようやく冷え固まる。この状態を魔石として活用することも可能。

 

ヤオラギ王国

 トルミナ王国のさらに東に浮かぶ、ごく小さな島国。

 かつて流れ着いた遭難者たちが築いた国で、長らく他国との交流がなかったため独自の文化を持つ。

 島には人間の他に、水の妖精が里を持って暮らしているという。

 ヤオラギの町&ヤオラギ城

石垣で整えられた水上の土地に木造瓦屋根の住居が立ち並ぶ、ヤオラギの国の首都。

他国からの玄関口でもあるが、船が出ているのは隣国トルミナとの間のみ。また、輸出入に制限を掛けており、衣類など文化の持ち出しは許可制となっている。

出入口こそ固く縛っているが国民は大らかで、条件を守った上で訪れた者に対しては温かくもてなしてくれる。

 ミトモリ浜

ヤオラギの町外れの海岸。

一見ごく小さな砂浜で、ぽつんと碑が建っている他には何もない。

かつて嵐に巻き込まれた船が座礁したのがこの場所から見える内海で、水精の手で助け出された遭難者たちが最初に降り立った場所である。建っている祈念碑は犠牲者の供養と、生存者が水精たちと協力し国を興していく誓いとして建てられたもの。

 ハタミ村

ヤオラギの町がある島とは別の、東の島にある小さな村。

裏の里山から湧き出る澄んだ水で農業や林業を行い、国民の暮らしを支えている。

ヤオラギの町が外部に開かれ冒険者などが立ち寄るようになったものの、わざわざこちらの村にまでやってくる者はごく僅かで、ゆったりとした時間が流れている。

 ヤオラギ洞

ハタミ村から北の磯浜を抜けた先に広がる洞窟。

海蝕洞なのだが内部はそれなりに入り組んでおり、冒険者のような外部の者は案内がなければ奥まで辿り着くのは困難。魔物も生息しているが、不思議と地元の人間を襲おうとはしないという。

奥地には開けた空間があり、そこに水の妖精の里が存在する。

 水精の里

ヤオラギの人間と共生して暮らす水の妖精「アクエルシー」の集落。

竜宮城のような門や住居は人間が建てたもので、天井の空洞から光が差し込み幻想的な雰囲気を持つ。

彼女らは人間よりずっと以前からここに暮らしていたが、嵐の夜に人間たちが流れ着き、それを救助して以来共に助け合って生活する道を選んだ。人間はアクエルシーに住居と技術を、アクエルシーは人間に妖精の力を提供し、今のヤオラギがあるのだ。

 

オーレピア自治領

 南西大陸中央部、コスコール王国領と山で隔たれ独立する、外海に面した小さな自治領。

 大陸側に特筆すべきものはないが、領地の一部である離れ島はこの世界では珍しく温暖な気候を有する。

 変わり者の領主がこれをリゾート地として整え、「極楽島」と称して宣伝している。

 オーレピア城

大陸の端、突き出た岬にそびえ立ち、昼でも闇に閉ざされ雷光が轟く魔城…というていで立てられたハリボテ看板の城。裏には領主の住居である一軒家が隠れているので横から見てはいけない。

地下からオーレム島へ向かう船が出ており、その実態は単なる住居兼船着き場である。

 極楽島オーレム

オーレピアの本体ともいうべき、島全体に築き上げられた巨大リゾート地。

トルミナの海岸に似せたという人工の砂浜沿いにはきらびやかなリゾートホテル、内陸には遊園地やカジノ等の様々な娯楽施設が立ち並ぶ。本土に比べて幾分か近代的な設備が含まれているが、領主の個人的な知識によるものらしい。

この世界でほぼ唯一の南国リゾートとして他国民の憧れの的となっており、いつかここを訪れることを夢見て稼業に励む者も少なくない。

 

ウェンデール王国

 北方大陸の北東部、一年の4分の3近くを雪に覆われる最北の国。

 主に寒さへの対策として発展してきた魔術学が特色で、雪と魔術の国と称されることもある。

 リーゼル公国やノイゼッタ自治領とは陸続きだが、険しい断崖が阻んでおり陸路での往来は困難。

 ウェンデール城下町&ウェンデール城

山際の王城と、そこから海岸まで続く王国の主要都市。

街の至る所に魔道具が用いられており、住民は雪の中でも快適に過ごすことができる。冬季の聖誕祭近くになると城に続く大通りに色とりどりに輝く魔石ランタンが並び、訪れる者を魅了する。

規模こそリュイナに劣るが、魔術の分野に特化している学園も存在する。

 レコリス湾

ポルトリーゼとウェンデールを往復する連絡船を迎え入れる、南西に開けた湾。

両端の岬に建てられた魔導塔から発せられる温熱の魔術により、港周辺は冬でも凍らない。しかしその魔力に引き寄せられて魔物が集まることがあり、冒険者には定期的に討伐依頼が出されている。

 コリティアの町

内陸に位置する小さな町。

ウェンデールの町とは異なりあまり魔道具に頼っておらず、住民たちは雪に埋もれながらもありのままの暮らしを営んでいる。

そんな質素な街だが、北にある洞窟に眠るという賢者の秘宝を求めてやってきた冒険者たちにとっては大事な拠点でもある。

 賢者の洞窟

コリティアの町から少し北、山のふもとに口を開ける洞窟。

内部には古い術式がかけられており、入るたびにその構造が変化するという不思議な特性を持つ。最深部まで到達した冒険者はいまだ存在しないが、そこにはかつての大賢者が残した願いを叶える道具が眠っていると伝えられている。

 ノルゼンディア断崖

ウェンデール市街の西、ノイゼッタ自治領との境界にそびえ立つ、壁のような長い崖。

その表面には昇降ルートが備えられているものの、頻繁な崩落や積雪で途切れがち。さらに吹き付ける吹雪やそんな中でも生息している魔物の存在が行く手を阻んでくる。

よほどチャレンジ精神のある冒険者でもない限りはリーゼル公国側へ迂回するべき。

 

ノイゼッタ自治領

 レーガス連峰の北に広がる、溶けることのない雪と氷に覆われた最果ての豪雪地帯。

 通商すらままならない過酷な地であり、半ば切り離されるように独立した自治領となっている。

 北端にある塔は遥か古代からそのままの姿で残っているといわれ、冒険者の最終目標とされる。

 ノイゼッタの町

自治領内唯一の町。

ほぼ年間を通して気温が氷点下で、雪が融けることはない。100人にも満たない住民たちは根菜の栽培や屋内での畜産によって日々の暮らしを送っている。

町の成り立ちは北方の調査を行っていた一団の拠点だと言われているが、今となっては定かではない。

 レイカ雪原

レーガス連峰を越えた冒険者を待ち受ける一面の銀世界。

ノイゼッタの町までは目印の看板が立っている。しかし放っておくとそれも雪に埋もれてしまうため、町の住民だけでなく訪れる冒険者にも道中の看板の周りの雪を払うよう求めている。

一方、ノイゼッタの町から北限の森や塔に向かう道のりは一切手が加えられておらず、手探りで進まなければならない。

 北限の森

レイカ雪原の先に立ち並ぶ、針葉樹の森。

この豪雪地帯に適応した木々は雪に埋もれながらも僅かな光で生長し、森の中は風が遮られるため比較的穏やかな場所となっている。

しかし、遭遇すれば生きては帰れないといわれる“死神”が彷徨っているので長居は禁物である。

 ノイゼッタ限海

北限の森を抜けた冒険者が次に挑むこととなる、まだらに凍り付いた深い海峡。

塔にたどり着くには流氷を渡りついでいかなければならず、当然滑り落ちれば無事では済まない。

かわいらしいペンギンの魔物が見かけられるというが、冒険者たちが彼らに構う暇はないだろう。

 最果ての塔

雪原を越え、森を抜け、流氷の海を渡った先にそびえる古代の塔。

いつ誰が何のために建てたのかは一切謎に包まれているが、その頂には願いを叶える伝説の宝がある、などと様々な噂が広まるうちに冒険者の最終目標として扱われている。

辿り着いた(そして帰ってきた)冒険者はまだいないため内部がどのようになっているかも不明。

 

世界樹ユリシエル

 ユリスガルドの中心に鎮座する巨大な樹。

 世界各地からその姿を目にすることができ、ユリス教では神聖なシンボルとして崇められている。

 その正体は未開の星に突き刺さりその環境を整える、創造神ユリスによって投じられた槍である。

  • 世界樹ユリシエル:下層

世界樹のふもと、島とそれに張り巡らされた根の部分。

原初の時代、人々が各地に広がる以前の生活の名残が遺跡として残されている。

このエリアであれば、船さえ工面できれば冒険者も容易に立ち入ることができる。

  • 世界樹ユリシエル:中層

複雑に絡み合った樹の幹が続く部分。

世界樹を登る上では最も長く続く層で、樹の内部の空洞を通り抜けるなど縦横無尽に通路が伸びる。

ここまで来ると先へ進める冒険者も限られてくる。少なくとも幹から幹へ空を飛び移る手段がなければ、早々に引き返すことになるだろう。

  • 世界樹ユリシエル:上層

幹の層を越え、最後に広がる枝葉の部分。

ここには頂に住まう天使によって通路が設置されており、ほぼ一本道で頂の神殿まで辿り着ける。

ただし来訪者を歓迎しているわけではなく、これも天使の手によって用意された防衛システムが各所に備わっている。

  • 世界樹ユリシエル:頂の神殿

世界樹の最上部に建つ、地上で最も高い場所。

頭上には神々の都市…天界が浮かんでいるが、ここに配属された天使アトリエルの力によって地上からは見えないよう隠されている。

神殿内には天界に繋がる転送装置があり、また外部の裏手には他の天使が用いるという地上各地に飛べる石環型の装置が設置されている。

 

 

その他
 南の熱帯島

トライト共和国の遥か南、地図の端の外海に浮かぶ無人の孤島。

寒冷なユリスガルド本土から遠く離れたこの島は熱帯寄りの気候で、鬱蒼と茂る木々に覆われている。

この島でのみ採れる木の実……カカオから作られるチョコレートは本土において高級嗜好品であり、主にリーゼル公国から冒険者を乗せた船が訪れる。

 禁忌の島

トルミナ王国の南東の外海にひっそりと浮かぶ小島。

遠目にはただの島だが、かつてユリスガルド全土を脅かした魔王と勇者の決戦の地といわれ、敗れた魔王が島の中央に封印されているという。

そのためか、島には強大な力を持つ魔物が多数跋扈しており誰も近付こうとはしない。

 世界の果て

ユリスガルドは端と端が繋がった世界ではなく、あくまで創造神によって整えられた星の一部である。

四方を囲う外海をさらに外へ向けて進むと、やがて霧の壁、世界の果てに辿り着く。

これを超えてなお進もうとする勇敢な冒険者もいたが、その船は戻ってはこなかったという。

 未開の大地

世界の果てのとある地点で、厚い霧の中から顔を覗かせる、大陸と思われる陸地の一端。

唯一陸路で世界の果てに入り込める場所であり、世界各地から腕利きの冒険者が集まり日々開拓を進めている。

現在のところは魔物が生息しているだけで、人による文明は確認されていない。

 

天界・ハルトキア

 ユリスガルド上空、地上から隠れて浮かぶ浮遊島。

 創造神ユリスをはじめとする神々と天使たちが、ここから地上の動向を監視…もとい観察している。

 もっとも、地上への干渉は一切行われず、その文明の成長を記録に残すのが目的である。

 神都ハルトキア

創造神ユリスと彼女が創った神々、そして一般市民である天人と幻獣人が住まう都市。

地上とは全く異なる文明を持ち、アスファルトで整備された道路には四輪自動車が走り高層ビルが所狭しと立ち並ぶ。その街並みはある星のある国の首都に酷似している…

住人たちは種族こそ神や天人だが、その性格は無機質なものではなく至って人間的で、会社やオフィスを設立し昼夜を問わず都市のインフラ維持と地上の観察に勤めている。

 神の庭

ハルトキア都内「ハルトキア中央駅」の西寄りに位置する、都会の中に佇む静かな庭園。

地上、世界樹の頂の神殿と転送装置で繋がる場所であり、天使はここから地上と行き来する。

地上への干渉を避けている関係上わざわざ地上に降りる天使は多くないが、ある天使は諸事情からこの場所を毎日のように利用している。